日本薬剤疫学会

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薬学教育と薬剤疫学TF

薬学教育と薬剤疫学タスクフォース終了の報告

 

期間:2005年3月(第1回)~2010年9月(教育用教材をHPに掲載)

 

座長:北澤式文

 

委員(五十音順):海老原格(くすりの適正使用協議会),折井孝男(NTT東日本関東病院),景山茂(東京慈恵会医科大学),後藤伸之(名城大学),三田智文(東京大学),津谷喜一郎(東京大学),橋口正行(慶應義塾大学),政田幹夫(福井大学医学部附属病院),望月眞弓(慶應義塾大学),山村重雄(城西国際大学)

 

経過:本タースクフォースは「薬剤疫学が薬学教育の中で如何に認識され、実際に講義が行われているか」、また「その認識を高める為に本学会はどのような活動をするべきか」を考えるために設けられたものである。


 まず2005年10月に全国の薬科大学学長および大学薬学部薬学部長にアンケートを送り、認識度と講義の現状について調査を行った。さらに薬学教育6年制が導入された直後の2006年7月に同様な趣旨の調査を行い、どのように変化しているかを考察した。これらの結果を本学会の学術誌「薬剤疫学」14巻(2009)13-20頁に掲載した。その結果、関連する講義は増えてはいるものの、薬学教育関係者の間で薬剤疫学の必要性の認識度は残念ながら未だに低いことが明らかになった。


 そこで本タースクフォースは薬学教育関係者を対象に「薬剤疫学の講義用パワーポイント」を編集することを試みた。また実例集を集積する為に「薬剤疫学関連成書集」を編集することとした。パワーポイントはメンバーの山村重雄城西国際大学薬学部教授が(有)レーダー出版センター発行(丸善株式会社出版事業部発売)、くすりの適正使用協議会監修、藤田利治編集による「実例で学ぶ薬剤疫学の第一歩」を全面的に参考にして作られたものである。また関連成書集は同じくメンバーの後藤伸之名城大学薬学部教授が多方面から収集されたものである。これらを参考にして薬学教育の中に薬剤疫学が採り入れられるように今後を注視していきたい。


 薬学教育が6年制になり、また我が国の医療の中で薬剤師の役割が重要視されつつある。薬剤師教育は薬学教育の専権である。処方せんによって投与情報が(特に平成22年4月からは医療機関のコードが処方せんに入力される)、一方患者指導によって患者情報、特に投与した薬剤の有効性と安全性にかかわる情報が、同時に入手できる立場にある薬剤師が薬剤疫学の手法によって患者個人の、さらに医療機関での薬物療法の有効性と安全性を評価できる「臨床薬剤疫学」が芽生え、発展することを期待している。


 このように活動してきた本タースクフォースであるが、第一段階を経たものとして終了することになった。ご支援を頂いた会員の皆さんに御礼を申し上げる。(2010.09)

 

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