日本薬剤疫学会

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第12回学術総会(2006年)

会 長:景山 茂(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター薬物治療学研究室)

会 場:パシフィコ横浜会議センター

会 期:2006年11月11日(土)~12日(日)

テーマ:医薬品の安全性とリスク評価

シンポジウム1「臨床現場にとって有用な副作用情報の報告・伝達・活用」

シンポジウム2「チロシンキナーゼ阻害剤と薬剤性肺障害」

シンポジウム3「医薬品使用実態調査とフォーミュラリー・マネジメント」

 【報告】


第12回学術総会(会長:東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 薬物治療学研究室 教授 景山 茂)は2006年11月11日(土)、12日(日)の両日、パシフィコ横浜会議センターにおいて開催された。

今回は「医薬品の安全性とリスク評価」をテーマとしてプログラムを企画し、3つのシンポジウム、ランチョンセミナーは両日、および初日の夕刻にはイブニングセミナーを開催した。更に、今回、初めての試みとしてチュートリアルを開催した。

シンポジウム1(座長:東京大学 久保田 潔 先生、福井大学 政田 幹夫 先生)は「臨床現場にとって有用な副作用情報の報告・伝達・活用」と題し、櫻井 靖郎、藤田 利治、小出 大介、小山 弘子の各先生にご発表頂き、副作用情報処理のあり方について有意義な議論がなされた。シンポジウム2(座長:慈恵医大 大西 明弘 先生、近畿大学 西尾 和人 先生)は「チロシンキナーゼ阻害剤と薬剤性肺障害」と題して、西尾 和人、加藤 晃史、平野 隆の各先生にご発表頂き、このup-to-dateな話題について議論がなされた。シンポジウム3(座長:東京大学 津谷 喜一郎 先生、浜松医大 川上 純一 先生)は「医薬品使用実態調査とフォーミュラリー・マネジメント」と題して、ノルウェーのRonning、川上 純一、草間 真紀子、オーストラリアのMacksonの各先生にご発表頂き、活発な質疑が行われた。

初日のランチョンセミナー(座長:帝京平成大学 北澤 式文 先生)は「メタボリックシンドロームにおける薬物療法の考えかた」と題して千葉大学 武城 英明 先生による現在話題となっている領域について興味ある講演がなされた。第2日のランチョンセミナー(座長:東京大学 大橋 靖雄 先生)は「未承認薬の安全管理」と題して、久保田 潔、木内 貴弘、日下部 哲也、佐藤 嗣道の4名の先生にご講演頂き、シンポジウム並の密度の濃いセミナーであった。また、初日の夕刻にはイブニングセミナー(座長:慈恵医大 浦島 充佳 先生)が開催され、「大いなる航海~軍医 高木兼寛の280日~」と題するドキュメンタリービデオが上映された。

一般演題には22題と多数の演題が報告され、熱心な質疑が行われた。現在、話題になっている幾つかの薬剤についてはそれぞれに複数の演題が報告され、シンポジウムのように集中した議論がなされた。近年、各学会等から診療ガイドラインが公表されているが、これらのガイドラインを考察する発表も幾つかあり、薬剤疫学が果たす新しい役割が期待された。また、「疫学研究の源流を訪ねて」と題する会長講演を行った。

初日には津谷 喜一郎 先生らのお世話により「ATC/DDDを用いた医薬品使用実態調査をどうおこなうか?」と題するチュートリアルが6時間にわたり受講者は30名限定として開催され、好評であった。

2日間の有料参加者は205人、当日の抄録集購入は102部に達し、招待者を含めると参加者は350人以上と推定され、盛況裡に学術総会を終えることができた。