日本薬剤疫学会

English

第11回学術総会(2005年)

会 長:政田 幹夫(福井大学医学部附属病院薬剤部)

会 場:福井商工会議所 コンベンションホール

会 期:2005年11月12日(土)~13日(日)

テーマ:ファーマコビジランス

シンポジウム「ファーマコビジランス」

 【報告】


近年、薬理活性・治療効果が高い反面、副作用の発現率あるいは重篤度の高い医薬品が開発・市販されてきている。医薬品適正使用のためのソフトとしての薬剤疫学が必要不可欠なものであることはいうまでもない。

第11回日本薬剤疫学会学術総会は、245人の多数の参加をいただき2005年11月12日(土)、13日(日)の両日、福井商工会議所コンベンションホール(会長:政田幹夫 福井大学医学部教授)において開催した。今回は、2005年4月から薬事法改正により施行されたGVP(Good Vigilance Practice、製造販売後安全管理基準)をどう理解し発展させていくのかを考えるために「ファーマコビジランス」をメインテーマとした。

シンポジウムでは、基調講演として医薬品医療機器総合機構の岸田修一安全管理監に「医薬品医療機器総合機構の市販後安全対策の動向」をお願いした。「新しい理念としてのファルマコビジランス」をくすりの適正使用協議会の鈴木伸二先生に、「安全性を巡る最近の流れと課題」を日本イーライリリー株式会社の古閑晃先生に、「ICH E2E Guideline“Pharmacovigilance Planning”と市販後安全対策」を慶應義塾大学病院薬剤部の谷川原祐介先生に、「ファーマコビジランスと病院薬剤師-医薬品の安全と品質の保証の監視者としての役割-」を鹿児島大学病院薬剤部の下堂薗権洋先生に、最後に「患者が望む医薬品の安全対策」をNPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの辻本好子理事長に講演をいただき、5名のシンポジストと参加者においてわが国の市販後の安全対策について議論がなされた。

ランチョンセミナーでは、日本薬剤疫学会発足10年を記念して、わが国の薬剤疫学の普及にご尽力された楠正先生(元 日本薬剤疫学会理事長)、北澤式文先生(帝京平成大学)、清水直容先生(帝京大学名誉教授)の3人の先生方に日本における薬剤疫学を振り返って10年間をオーバービューしていただいた。

特別講演としては、聖路加国際病院長の福井次矢先生に「臨床医から見た疫学-臨床疫学/EBMと教育システム-」の講演をいただいた。

ミニシンポジウムでは、「次世代の薬剤疫学を語る」とのテーマのもと、医療経済学者の立場から池田俊也先生(慶應義塾大学医療政策・管理学)に、製薬企業の立場から今井啓之先生(ファイザー)に、医療現場(病院)の立場から後藤伸之先生(福井大学病院薬剤部)に、医学・薬学教育者の立場から小出大介先生(東京大学大学院)に、医療現場(調剤薬局)の立場から三溝和男先生(望星薬局)に講演をいただき、今後薬剤疫学が目指すべく方向性やますます発展させるべく戦略について参加者と熱心な議論がなされた。
一般講演では,演題数が12と例年より少なかったが参加された先生方との実りある活発な討論がなされ、薬剤疫学に関する研究と実践応用の発展の一助となった。

次回学術総会会長の景山茂先生(東京慈恵会医科大学)の閉会の挨拶で第11回日本薬剤疫学会学術総会は盛況下に幕を閉じた。

                           (第11回日本薬剤疫学会学術総会 会長 政田幹夫)