日本薬剤疫学会

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治療リスク管理タスクフォースについて

(座長 佐藤嗣道)

 

本TFは、2009年にスタートし、わが国における治療リスク管理のあり方について調査・検討することをミッションとして、活動を行ってきた。

 

  2012年に「医薬品リスク管理計画指針」が厚生労働省より公表され、2013年4月以降に申請される新医薬品などについて、医薬品リスク管理計画(Risk Management Plan: RMP)の策定・実施が義務付けられた。RMPのリスク最小化計画に基づくリスク最小化活動には、「通常のリスク最小化活動」と「追加のリスク最小化活動」がある。「追加のリスク最小化活動」は、医療関係者への追加の情報提供、患者への情報提供、医薬品の使用条件の設定などを特別に行うものであり、目標達成のために資源が投入されるとともに、医療関係者や患者の負担を伴う場合もある。したがって、その活動をPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を繰り返すPDCAサイクルによって継続的に評価・改善することが求められている。その際には、リスク最小化活動の目標(ゴール)達成の度合いを評価するとともに、用いられたツールが実際に目標達成にどの程度寄与したかを評価し、ツールの改善を行うことが重要であるとされる。しかし、こうした評価を行うことは必ずしも容易ではなく、実際の経験も不足している。

 

  そこで、2014年以降は、おもにリスク最小化策の評価に焦点を絞り、国内外の最近のトピックスを中心に情報を収集・整理する活動を行っている。今後はとくに催奇形性のある医薬品のリスク最小化策の評価について検討し、個別のリスク管理プログラムの評価方法とともに、胎児への薬剤曝露と先天異常のアウトカムの把握を可能とする社会的基盤整備に関する課題についても検討する予定である。

 

委員構成 佐藤嗣道(座長)、青木事成、岡田裕子、久保田潔、古閑晃、中島研、中村敏明、別府宏圀 (2017年10月)

 

 

 

 

 

 

 

3月16日 久保田理事長司会の下に仮称「リスク管理」TFの立ち上げに当たっての会合を開催し,以下の提案を4月13日の理事会に諮り,承認された.

問題の認識:行政と企業が医療機関の注意を喚起する仕組みはあるが,医療機関に情報が伝達された後,患者の治療に当たる医師,薬剤師,さらには患者が協力してリスクを最小化する取り組みに,企業または企業から委託を受けた者が適切に関与するシステムはどうあるべきか,またどのように構築すべきか,という問題をとりあげる.具体的には患者登録はリスク最小化策の有用なツールになり得るが,それが必要な状況,医療現場でのシステムのあり方を検討する.そのため,複数医療機関が協力するシステムの可能性,電子カルテの利用,治療への介入,FDAのREMSの考え方と方法の導入,なども検討する.

 

成果物:学術総会・シンポジウム,包括的システムの試作~トライアル・スタディの計画~実施
期間:トライアル・スタディの計画~実施に3年は必要と考えられる.
委員構成:渥美,折井,門脇,久保田,黒川,古閑,佐藤,津谷,中村,別府
座長:黒川委員

 

また5月20日に初会合が開催され,治療リスク管理のオーバービュー,催奇形性をもつ薬剤についての経験,医療現場での経験・困難な問題・解決策についての勉強会を開催し,情報認識を共有化した.「如何にしてヒトを動かすか」をキーワードとして活動を行う.(2009.5.29)

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