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薬剤疫学とは

 

著名な薬剤疫学者の Strom教授は、薬剤疫学を「人の集団における薬物の使用とその効果や影響を研究する学問」と定義しています。「人の集団における薬物の使用」は医療現場での医薬品の使用を意味しますから、薬剤疫学は主として市販後医薬品の使用実態に適用されます。「効果や影響」は、有効性と安全性の他に経済性を含んでいます。

 

 「くすり」を逆に読むと「リスク」となりますように、医薬品には有効性によるベネフィットが期待される反面で有害事象や副作用が発生するリスクが伴います。薬剤疫学の研究成果は、リスクを小さくベネフィットを大きくする医薬品の使い方、すなわち「適正使用」の確立に寄与すべきですが、適正使用には経済性も含まれましょう。適正使用は処方と調剤の問題に関係しますし、薬剤疫学は情報伝達に関する研究も含んでおります。

使用実態、使用者の集団は大きくは国、地域ですが、一つの病院、診療所、薬局にも存在します。未知重篤な副作用の発見、有害事象を起こした症例の集積、自発報告、医薬品との因果関係の追及、短期の治療効果や長期予後の評価、費用対効果の解析など、研究の課題もさまざまです。これらの研究は医薬品の製造販売を行う企業が市販後調査として実施する場合もありますが、病院、診療所、薬局の医療関係者が始める研究もありますし、集団での研究に疫学者、統計学者、情報技術者が参画する場合もあります。これらの研究成果はすべて研究に関与したひとり一人の医師、歯科医師、薬剤師、看護師など、さらには他の医療機関で働く方々、さらには患者と医療社会に役立つものと考えられます.

 

薬剤疫学は医学、薬学、看護学、疫学、統計学、情報学などが関係する学際的領域です。学会はこのような研究を発表したり、共通問題を討論する場でありますが、専門を異にする研究者の交流の場でもあります。適正使用を実現するためには、研究者とともに企業と行政機関の関係者の協力が欠かせません。薬剤疫学はこのようにさまざまな人達の共通認識と協力があって初めて発展する領域です。

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2009年12月03日 14:15に投稿されたエントリーのページです。

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